【健康カプセル】カギは「オレキシン」?睡眠の最新科学を紹介!~寝つきの悪い方へ~

2024年10月20日放送の【健康カプセル!ゲンキの時間】で、寝つきの悪い方に向けて、睡眠の最新研究や、睡眠をコントロールする「オレキシン」という脳内物質、そして「ぐっすり眠れる方法」などについて紹介がありました。

紹介してくれたのは、筑波大学の櫻井武教授。睡眠研究の第一人者です。

番組でも取り上げられた睡眠に関する最新情報を以下にまとめます。

目次

睡眠のメカニズム

レム睡眠とノンレム睡眠とは?

レム睡眠とノンレム睡眠は、私たちが眠っている間に交互に現れる2つの異なる睡眠状態です。レム睡眠は、目が急速に動く「Rapid Eye Movement」の略で、脳が非常に活発な状態である一方、体の筋肉はほぼ完全にリラックスしています。この段階では夢を見ることが多く、脳は記憶や感情の整理を行うとされています。一般的に、レム睡眠は一晩の睡眠の約20〜25%を占め、夜の後半に多く現れます。

一方、ノンレム睡眠は脳が休息し、身体の修復や成長が促進される段階です。この段階はさらに浅い睡眠(N1、N2)から深い睡眠(N3)に分かれています。深いノンレム睡眠(N3)では、脳波は低周波の「デルタ波」が優勢となり、身体の筋肉は弛緩し、成長ホルモンの分泌が活発になります。ノンレム睡眠は全体の約75〜80%を占め、特に夜の前半に多く現れる特徴があります。

これらの睡眠状態は、約90〜110分のサイクルで一晩に4〜6回繰り返され、体と脳が回復し、日中の活動に備えるために必要不可欠です。バランスの取れたレム睡眠とノンレム睡眠を確保することで、健康な生活が維持されます。

寝つきが悪くなるメカニズムとは(最新研究より)

寝つきが悪くなる原因はいくつかありますが、最新の研究によると、体内時計の乱れや覚醒を引き起こす神経伝達物質の影響が大きな要因とされています。通常、私たちの体内時計は24時間周期でリズムを刻み、日中は覚醒を促し、夜間には睡眠を誘導する役割を果たします。しかし、夜間の光(スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトなど)によって体内時計が乱れると、睡眠のリズムが崩れ、寝つきが悪くなることがあります。

さらに、覚醒を促進する「オレキシン」やストレスホルモン「コルチゾール」が過剰に分泌されると、脳がリラックスできず、眠りに入ることが困難になります。特に、日中のストレスや夜間の活動が続くと、これらのホルモンの分泌が増加し、寝つきが悪くなる傾向があります。

最近の研究では、特に睡眠禁止帯と呼ばれる時間帯(普段の就寝時間の2〜4時間前)において、体が覚醒しやすくなることも指摘されています。この時間帯に無理に寝ようとしても、体内時計が「起きているべき時間」と判断するため、寝つきが悪くなるのです。これらのメカニズムを理解し、寝室環境の調整や適切なルーティンを取り入れることで、寝つきの改善が期待できます。

睡眠をコントロールするポイント

睡眠をコントロールする「オレキシン」とは

オレキシンは、脳内で作られる神経ペプチドで、主に覚醒と睡眠の調節に関与しています。オレキシンは、視床下部と呼ばれる脳の一部で生成され、覚醒中枢を刺激することで、私たちの体が目覚めている状態を保つ役割を果たします。これにより、日中に活動的で集中力が高い状態を維持できるのです。

このオレキシンは、体内のエネルギーバランスとも深く関係しています。例えば、空腹になるとオレキシンが分泌され、覚醒レベルが上がるため、活動的になり食事を求める行動が促進されます。逆に、食後に血糖値が上がるとオレキシンの分泌が低下し、眠気が増すことがあります。このように、オレキシンは睡眠と覚醒のスイッチを切り替える重要な役割を持っています。

一方で、オレキシンの機能が低下すると、過眠症(ナルコレプシー)といった睡眠障害が発生することが分かっています。ナルコレプシー患者では、オレキシン神経が破壊されることにより、覚醒状態を保てなくなり、日中に強い眠気が襲うという症状が現れます。この発見により、オレキシンを標的とした治療薬が開発され、睡眠障害の治療に役立てられています。オレキシンの調整は、睡眠の質や日中のパフォーマンスの向上に直結するため、今後の研究と治療法の発展が期待されています。

ぐっすり眠れる方法

(1) スマホはどう使えばいい?

就寝前にスマホを使うと、画面から発せられるブルーライトが脳を刺激し、メラトニンの分泌を抑制してしまいます。これにより、体内時計が乱れ、寝つきが悪くなることが知られています。そのため、スマホは就寝の1時間前には使用を控えるのが理想的です。どうしても使用する必要がある場合は、画面の明るさを落とし、ブルーライトカット機能を活用すると効果的です。また、代わりにリラックスできる読書やストレッチを取り入れると、眠りやすくなります。

それこそベッドに入った状態でスマホを見ていると、上記のオレキシンも、「今は起きる時間だ」と反応してしまい、覚醒状態に戻ってしまうのだとか。

(2) 部屋の明るさは?

睡眠前の部屋明るさは、快適な睡眠を得るために重要な要素です。明るすぎると脳が昼間と錯覚し、メラトニンの分泌が減少してしまいます。特に就寝2、3時間前は、ギリギリ本が読める程度の明るさで過ごすようにすると、入眠しやすくなります。

また、暖色系の間接照明を使用し、できるだけ光量を抑えましょう。特に、青い光や強い白い光は避け、体内時計に負担をかけない環境を作ることが大切です。

(3) エアコンは何度がベスト?

エアコンの温度設定は、眠りの質を大きく左右します。最適な温度は、一般的に夏なら25〜28度、冬なら20~22度と言われていますが、櫻井教授によれば、「自分が心地よいと感じる音頭で」。

ただし、エアコンの風が直接体に当たらないように設定し、乾燥を防ぐために加湿器を併用するのがおすすめです。あまり寒くしすぎると体が緊張し、逆に睡眠が浅くなることもあるため、快適に感じる温度に調整することが重要です。

(4) 靴下履いたまま寝るのはOK?

靴下を履いたまま寝ることは、特に足が冷えやすい人には効果的です。足元を温めると血管が拡張し、体の中心部の温度が下がるため、眠りに入りやすくなります。ただし、締め付けの強い靴下は血流を妨げる可能性があるため、ゆったりとしたものを選ぶことが大切です。また、足の温度が上がりすぎると逆効果になることがあるので、体調に応じて調整してください。

(5) 昼寝はするべき?しないべき?

昼寝は適度に行うことで、日中の集中力やパフォーマンスを向上させます。ただし、長時間の昼寝は夜の睡眠に影響を及ぼすことがあるため、15〜30分程度が適切です。特に午後2時から3時頃に取ると、自然な体内リズムに沿ったタイミングで効果的です。それ以上の長さや夕方以降の昼寝は避け、夜の睡眠に支障が出ないように心がけましょう。

(6) コーヒーは何時まで?

コーヒーに含まれるカフェインは、覚醒作用が強いため、摂取する時間に注意が必要です。一般的に、カフェインの効果は4〜6時間続くため、就寝時間の少なくとも6時間前にはコーヒーの摂取を控えるのが良いとされています。例えば、夜11時に寝る場合は、午後5時以降はカフェインの含まれた飲み物を避けましょう。どうしても飲みたい場合は、カフェインレスのコーヒーやハーブティーに切り替えることをおすすめします。

夜ぐっすり眠るためにオススメの日中の行動

日中の過ごし方が夜の睡眠に大きく影響を与えます。まず、日中に太陽の光を浴びることは体内時計をリセットし、メラトニンの分泌を正常化するため、夜の睡眠に備える上で非常に重要です。特に朝に散歩や軽い運動を取り入れると、体内リズムが整いやすくなり、夜の入眠がスムーズになります。

また、日中の適度な運動も効果的です。エクササイズは、ストレスを軽減し、体温を上げることで、夜に体温が下がりやすくなり、自然な入眠をサポートします。ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果になることがあるため、就寝3時間前までに終えるようにしましょう。

さらに、規則正しい食事の時間も睡眠に影響を与えます。特に朝食をしっかりと摂ることで、体内時計が正常に働き、日中のリズムが安定します。夕食は寝る2〜3時間前に摂り、消化が終わるタイミングで眠ることで、胃の負担を減らし、ぐっすり眠ることができます。

最後に、カフェインの摂取を午前中に抑え、昼過ぎ以降はカフェインの少ない飲み物や水を選ぶことで、夜の睡眠に悪影響を及ぼさないようにします。こうした日中の行動を取り入れることで、夜の質の高い睡眠が期待できます。

まとめ

ということで、「健康カプセル」の情報をもとに、睡眠に関する最新情報をお伝えしました!皆さまの参考になれば幸いです。

よかったらシェアをお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次