お酒を飲んで顔が赤くなる人の中には、「赤くなるけれど、わりとすぐに元に戻る」という体質の方もいらっしゃいます。
同じように赤くなるにも関わらず、人によって赤みの持続時間が違うのはなぜでしょうか。また、そうした体質の人は、お酒に対してどの程度耐性があるといえるのでしょうか。
本記事では、お酒で赤くなる仕組みから体質の分類などについてお伝えしていきます。
顔が赤くなるメカニズム
アセトアルデヒドと血管拡張の仕組み

お酒を飲んで顔が赤くなる現象は、「フラッシング反応」と呼ばれています。
体内に入ったアルコールは、まず肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH1B)によってアセトアルデヒドという物質に分解されます。このアセトアルデヒドこそが、顔が赤くなる直接の原因です。
アセトアルデヒドには血管を拡張させる作用があるため、特に顔や首などの毛細血管が集中している部分で血流が増加し、皮膚が赤く見えるようになります。
通常であれば、このアセトアルデヒドは2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)によって無害な酢酸に分解されるのですが、この酵素の働きが弱い人では分解が追いつかず、赤くなりやすくなってしまうのです。
赤みが早く戻る人の特徴

同じように赤くなる人でも、赤みの持続時間には個人差があります。
比較的早く赤みが引く人は、ALDH2の活性がある程度保たれているタイプです。完全に酵素が機能しないわけではなく、時間をかければアセトアルデヒドを分解できるため、最初は赤くなってもだんだんと元の肌色に戻っていきます。
一方、酵素の活性が極めて低い人では、少量のお酒でも長時間赤いままになったり、気分が悪くなったりしてしまいます。
また、毛細血管の反応にも個人差があるとされており、同じ量のアセトアルデヒドが体内にあっても、血管の反応の強さによって赤くなり方が変わることも知られています。
お酒の「体質5分類」と「赤くなるけどすぐ戻る人」の該当タイプ
お酒に対する体質5分類
アルコールに対する体質は、「アルコール脱水素酵素(ADH1B)」と「アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」という2つの酵素の組み合わせによって決まります。この組み合わせは遺伝子によって決まり、生涯変わることはありません。主に次の5タイプに分類されます。
| タイプ | ADH1B(アルコール分解) | ALDH2(アセトアルデヒド分解) | 体質の特徴 |
|---|---|---|---|
| A型 | 低活性 | 活性 | 酔いやすく依存症リスクが高い。飲酒による快感が強く、翌日に残ることも多い。 |
| B型 | 高活性 | 活性 | いわゆる「お酒に強い」タイプ。酔いにくいが、飲みすぎによる疾患リスクも。 |
| C型 | 低活性 | 低活性 | 酔いやすいが不快な症状が出にくく、飲みすぎる傾向。 |
| D型 | 高活性 | 低活性 | 顔が赤くなりやすく、少量でも気分が悪くなるタイプ。 |
| E型 | 高活性 | 不活性 | 完全な下戸。ごく少量でも強い不快症状が出るため、飲酒は避けるべき体質。 |
軽度フラッシャーはB型該当
赤くなるけれどすぐに戻る人は、主にB型(お酒に強いタイプ)に該当すると考えられます。
B型の人は、ALDH2とADH1Bの両方が活性型のため、アルコールからアセトアルデヒドへ、そしてアセトアルデヒドから酢酸への分解が比較的スムーズに進みます。
そのため、最初は一時的に赤くなっても、時間の経過とともにアセトアルデヒドが分解されて赤みが引いていくのです。ただし、強いからといって油断は禁物で、飲みすぎると健康に悪影響を及ぼします。
逆に赤みがしばらく続く場合は、D型の可能性が高いと思われます。
