お酒を飲み過ぎた翌朝、頭がガンガンして胃がムカムカ……。こんな二日酔いの症状に悩まされた経験は誰にでもあるでしょう。
二日酔いの症状を少しでも早く改善したいと思うのは当然のこと。しかし、間違った対処法を実践していては、かえって症状が長引いてしまうかもしれません。
本稿では、即効性のある二日酔いの治し方について、症状別に詳しく解説していきます。コンビニで手に入る食材から、自宅でできる対処法まで、幅広くお伝えします。
二日酳いの症状と原因
アセトアルデヒドが引き起こす症状

二日酔いの主な原因は、アルコールが体内で分解される際に生じる「アセトアルデヒド」という有害物質です。
通常であれば、肝臓でアセトアルデヒドはさらに分解されて無害な酢酸になります。ところが、大量のお酒を飲むと肝臓の処理能力を超えてしまい、アセトアルデヒドが血中に残ってしまうんです。
このアセトアルデヒドが引き起こす主な症状がこちら。
- 頭痛やめまい:血管拡張作用による
- 吐き気や動悸:神経系への直接的な影響
- 全身のだるさ:細胞レベルでのエネルギー産生阻害
アセトアルデヒドの毒性は非常に強く、ホルムアルデヒドの仲間でもあります。この物質が体内に残り続ける限り、不快な症状は続いてしまうというわけです。
脱水症状による体調不良
アルコールには強い利尿作用があるため、飲酒後は脱水状態になりやすくなります。
具体的には、アルコール1gにつき約10mlの水分が体外に排出されるとされています。ビール500ml(アルコール度数5%)を飲んだ場合、約250mlの水分が失われる計算です。
脱水による症状:
| 症状 | 原因 |
|---|---|
| 頭痛 | 脳血管の収縮と血流低下 |
| めまい | 血圧低下と電解質バランスの乱れ |
| 口の渇き | 体液量の減少 |
| 疲労感 | 血液循環の悪化 |
さらに、アルコールの分解には大量の水分が必要なため、体内の水分不足はアセトアルデヒドの分解も遅らせてしまいます。
胃腸への直接的なダメージ
アルコールは胃や腸の粘膜に直接的な刺激を与え、胃炎や胃酸過多を引き起こします。
これにより現れる症状:
- 胃もたれや胸焼け:胃酸分泌の促進
- 下痢:腸内環境の乱れ
- 食欲不振:胃粘膜の炎症
アルコール度数が高いお酒ほど胃への刺激は強くなります。また、空腹時の飲酒では胃粘膜へのダメージがより深刻になってしまうんです。
症状ごとの即効対処法
頭痛を素早く和らげる方法

頭痛の原因は主に脱水とアセトアルデヒドによる血管拡張です。この2つにアプローチすることで、痛みを効果的に緩和できます。
まず最優先は水分補給。ただし、真水よりもスポーツドリンクの方が効果的です。塩分と糖分が含まれているため、体への吸収が早く、電解質バランスも整えられます。
次に効果的なのがカフェイン摂取。コーヒーに含まれるカフェインには血管収縮作用があり、アセトアルデヒドで拡張した血管を元に戻してくれます。
ただし、コーヒーは胃への刺激が強いため、ミルクを加えて胃に優しくすることが大切。または、刺激の少ない緑茶でカフェインを摂取するのも良い方法です。
吐き気・胃もたれの緊急対策
吐き気や胃もたれには、胃粘膜を保護しながら消化を助ける対処法が効果的です。
生姜は二日酔いの吐き気に特に有効。生姜に含まれるジンゲロールという成分が、胃の動きを整え吐き気を抑えてくれます。生姜湯や生姜茶として摂取するのがおすすめ。
大根おろしも胃もたれに効果的。大根に含まれる消化酵素が、アルコールで疲れた胃の働きをサポートしてくれます。
市販薬を使う場合は:
- H2ブロッカー:胃酸分泌を抑える ※ガスター10(第一三共ヘルスケア)、アシノンZ(大正製薬)など
- 制酸剤:過剰な胃酸を中和する ※太田胃散(太田胃散)、第一三共胃腸薬(第一三共ヘルスケア)など
- 胃粘膜保護剤:荒れた胃壁を保護する ※キャベジン(興和)、セルベール(エーザイ)など
症状に応じて適切な成分の薬を選ぶことで、より早い回復が期待できます。
だるさ・疲労感の解消術
全身のだるさは、エネルギー不足と栄養素の枯渇が主な原因。特にアルコール分解には大量のビタミンB1が消費されるため、積極的な補給が必要です。
ビタミンB1を多く含む食材:
- 豚肉
- うなぎ
- たらこ
- 枝豆
食欲がない場合は、サプリメントや栄養ドリンクでの摂取も効果的。ただし、胃が弱っているときは刺激の少ないものを選びましょう。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)も疲労回復に有効。魚、肉、そばなどに多く含まれており、肝臓の解毒作用を高める効果が期待できます。
めまい・ふらつきへの対応
めまいやふらつきは血圧低下と電解質バランスの乱れが原因。急激な水分補給よりも、少しずつ継続的に摂取することが大切です。
経口補水液は電解質バランスを整えるのに最適。スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、糖質は控えめなので、より効率的に体液バランスを回復できます。
立ちくらみがひどい場合は無理をせず横になって安静にすること。血流が改善されるまで、激しい動きは避けましょう。
回復を早める食事と飲み物
水分補給の正しいやり方

二日酔いの水分補給には、量とタイミング、そして質が重要。
まず起床後すぐに、コップ1杯の常温の水またはスポーツドリンクを飲みましょう。冷たいものは胃に負担をかけるためできれば避けたいところ。
その後は30分〜1時間おきに少量ずつ水分を摂取。一度に大量に飲むと、かえって胃に負担をかけてしまいます。
肝機能をサポートする食材
しじみは二日酔いに効く食材の代表格。アミノ酸の一種であるオルニチンが豊富で、肝臓のアンモニア代謝を促進してくれます。
卵も優秀な回復食材。良質なタンパク質とともに、肝機能回復に必要なビタミンB群や亜鉛を効率よく摂取できます。卵かけご飯なら胃に負担をかけずに栄養補給が可能。
梅干しには疲労回復効果のあるクエン酸が豊富。さらに塩分補給にもなるため、脱水状態の改善に役立ちます。
胃に負担をかけない組み合わせ例:
- しじみの味噌汁+卵かけご飯
- お茶漬け+梅干し
- 豆腐と枝豆のサラダ
避けるべき食べ物と飲み物
二日酔いのときに摂取を控えたい食材もあります。
迎え酒は絶対にNG。一時的に症状が軽くなったように感じるのは、酔いで感覚が麻痺するだけ。肝臓への負担が増し、回復が遅れてしまいます。
大量のカフェインも避けること。血管収縮作用があり、アセトアルデヒドで拡張した血管を元に戻してくれる作用はありますが、摂取しすぎると、利尿作用でさらに脱水が進んでしまいます。コーヒーを飲む場合は1〜2杯程度に留めましょう。
脂っこい食べ物は消化に時間がかかり、弱った胃腸に負担をかけます。揚げ物やラーメンなどは回復してから楽しみましょう。
コンビニで買える回復食品
コンビニで手軽に入手できる二日酔い対策食品をご紹介します。
飲み物系:
- 経口補水液(OS-1など)
- スポーツドリンク
- 野菜ジュース(ビタミンC補給)
- 豆乳(良質なタンパク質)
食べ物系:
- おかゆやうどん(消化に良い)
- バナナ(カリウムと糖分補給)
- ヨーグルト(胃腸環境改善)
- 卵サンド(タンパク質とビタミンB群)
これらの食材を組み合わせることで、水分・栄養・エネルギーをバランス良く補給できます。
二日酔いは時間とともに自然に回復しますが、適切な対処法を実践することで症状を大幅に軽減し、回復を早めることができます。
最も大切なのは無理をしないこと。症状がひどい場合は安静にして、体調が改善してから通常の活動に戻りましょう。
なお、頻繁に二日酔いになる場合は、飲酒量や飲み方の見直しをおすすめします。適度な飲酒で、お酒との健康的な付き合いを心がけていきたいところです。
